上野・鈴本演芸場の高座に祝花
2007年 08月 20日
上野・鈴本演芸場の高座に祝花を制作したご報告です。いままで様々なステージにおいてインスタレーションを制作してきましたが、古来の伝統芸能である落語とのいわばコラボレーションということになるのでしょうか。今回は、「初めてのことでしたが、たまたまのご縁があってたいへん楽しく制作することができました」。
6月25日、この夜の部の上野・鈴本演芸場の高座は落語家の五明楼玉の輔師匠が「噺家の手ぬぐい」というご本を出版された記念落語会と銘打った高座ということで、師匠のファンが大勢駆けつけておりました。皆さんは、きっと、今までの高座と「ちょっとちがった風景だね」、「なかなか粋な祝花だね」などと感じられたことと思いますよ。
さて、祝花ですが、昼の部と夜の部入替のほんの僅かな合間での制作で手早さがいりましたが、写真でご覧いただくように、高座の噺家さんを挟んで上手、下手に1m20cmほどの真竹を3本づつ立てて、お花は、どうだんつつじ、アマリリス、アジサイなどを素材としております。またその周りにいろいろの形に折った「手ぬぐい」をこれもまた素材としてあしらって仕上げとしました。全体として真竹の鮮やかな緑とお花の色のそれぞれのコントラストが伝統芸能の空間において調和し、優雅さを醸しだしていたと思います。
終了後、演芸場から「しばらくこのまま置いておいてもらいないでしょうか」とのお言葉をいただきました。
まさに「いけ花は出会いの芸術」ですね!
さて、落語の高座の中の小道具として使われることの多い「手ぬぐい」ですが(もう一つは扇子)、手ぬぐいは持ち主のセンスやしゃれっ気を表すものとしてこだわりの品が多いそうです。ただの手ぬぐいではなくその落語家(噺家)名入りのオリジナル手ぬぐいなのです。2ツ目となって下働きから開放される段になって初めて自分の名入り手ぬぐいを作ることができるそうです(同時に、紋付、羽織、袴の着用が許される)。由緒あるものなのですね。「噺家の手ぬぐい」では有名噺家のオリジナル手ぬぐいが約300本集められ出版されたものです。なかなか楽しめる1冊だと思いますよ。(日東書院、本体価格1500円)
文:とくえ
(文、写真は掲載にあたり事前に許可を得ています)
後記
今回、上野鈴本演芸場から特別に許可を得て、高座に祝花をいけさせていただきました。
通常高座は神聖な場所であり、一般の方は入れません。
竹中麗湖&チーム・メチエ www.t-metier.com
by t-metier
| 2007-08-20 17:58
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